◆ シュルーズベリ近郊、B&B ◆

(B&B in Shrewsbury)


Garden of Pinewood House, Shrewsbury


◆ まずはB&B、ニュージーランドの場合

 イギリスの旅行記によく登場するB&B。一度は泊まってみたいと憧れますよね。
 ニュージーランドを旅行したとき初めて何カ所かB&Bに泊まりました。1泊一人が3,000円で朝食付きという値段の安さももちろんですが、卵の焼き方まで気を遣ってくれるフルコースのイングリッシュブレックファーストに始まり、どのB&Bのオーナーも感じよく人間的な触れあいも印象に残るB&B体験でした。トイレやシャワーは共同というところばかりだったのですがそれもそんなには不自由ではなく、B&Bってなんて快適!とまずはとっても好印象を持ちました。

◆ B&B、ロンドン事情

 さあそれなら本場イギリスのB&Bはいったいどんななんでしょう、と期待した前回1999年のイギリス旅行ロンドンで宿泊したB&Bは2件とも大はずれ。朝食は各種シリアルが並べられているだけ。ベッドルームはいかにも安宿。絨毯はしみだらけで床に足を下ろすのもためらわれます。
 話によるとロンドンB&Bはどこもこんなものだそうで、伝統的なB&Bを体験したければ地方に行くべしとのこと。ロンドンB&Bは1泊一人5,000円ほどで最近では各部屋にトイレ、シャワーが付いているところも多く、貧乏旅行が目的ならそう悪い宿泊場所ではないかもしれません。でも本場イギリスのB&Bに憧れていた私には、、、幻滅のB&Bでした。ロンドンではB&Bにはもう泊まることはないでしょう、つくづく、、、。

B&B, Pinewood House

◆ 今回、B&B探しから

 今回、Shrewsbury近郊に住む友人宅にお邪魔することにはなったのですが、こちらは5人という大人数ということもあり近くに宿を取ることにしました。1泊目は友人がすすめてくれた高級ホテル。2,3泊目はB&Bに泊まろうということになりさてそのB&B探しに結構難渋しました。インターネットでピックアップした20数件を現地の友人にあたってもらったところ、半分が年末はお休み、半分がground floorのベッドルームなし(姑が足が悪いため階段が苦手なので)という結果に。念願の地方B&Bは今回もだめかぁ〜とあきらめつつ、ふと前回手に入れてきたShrewsburyの観光パンフレットにある1件Pinewood Houseを見つけ、夜も更けて日本からだめおしの電話をしてみました。
「年末宿泊したいのですが、」「日にちはいつですか?」(お、これは?)「30,31日なのですが」「大丈夫ですよ」(ええ〜?)「Ground floorのベッドルームがありますか」「あります」(やった〜!)
 悩んだ割には意外とあっけなく予約でき、私はキツネにつままれたよう。電話の相手のご婦人はきちんとその場で3部屋分2日間の料金(一人25ポンド)を確認してくれ、とてもビジネスライク、簡にして要を得る受け答えとでも言いましょうか。後になってこのご婦人と対面したとき、この時の明敏なやりとりもさもありなんと再認識することになるのですが。

Pinewood House

Shelton Park, The mount, Shrewsbury SY3 8BL
Tel:01743-364200

B&B with en-suite facilities
from L.25 per person


◆ なんと、おすすめB&B

 そんなわけで成り行き的にとれたB&Bということもあって、このB&Bにそんなには期待していませんでした。ところが行ってびっくり。大正解だったのです!
 Shrewsbury近郊という住宅地の割には敷地も広く、駐車スペースも十分あります。敷地のほとんどは芝生が敷き詰められ、花の盛りにはさぞかしと思われる手入れの行き届いたお庭。家は白の平屋風でもともとは3件分の車庫を改造したものだとか。
 各ベッドルームはそれぞれ工夫を凝らした趣で調度も美しく、それぞれ専用のバス、トイレ付きです。高級ホテル並みにバスローブまで。お茶のセットもありティー、コーヒー、etc.といろいろなお茶の用意がしてありました。
 美しく花の飾られた大テーブルの置かれたダイニングルームの他に、B&Bにはつきものの居間は40畳ほどもある広々とした贅沢な空間で、庭を見晴らすベイウインドウの前には季節にふさわしく大きなクリスマストゥリーが飾られ、暖炉の上や小テーブルにはところ狭しと各種クリスマスカードが並べられていました。ゆったりとした大きなソファーの脇にはシェリー酒が、テーブルの上にはチョコレートが。「シェリー酒チョコレートをご自由にどうぞ」とオーナーマダム
 さてそのオーナーマダムです。電話でやりとりしたときからてきぱきとしたやり手の方というイメージがありましたが、実物のご本人もすらっと背の高い知的な方。どこぞで大学の先生でもしたいらしたかのような雰囲気を漂わせた方です。お子さん方が小さいときにご主人を亡くされて女手一つでお子さん達を育ててきたのだとか。そのお子さん達も結婚されてお孫さんもいるようで、そんなご家族からのクリスマスカードがあちこちに飾られているのです。
 そのマダムが去ると父が突然母に向かって、「長い間世話になったが別れてくれ」
?という皆の顔を前にさらに、「しかも円満に」
 これには母を始め一同大笑い。この突然の父のセリフはあまりにも無謀で荒唐無稽で、もちろんのこと全然シリアスには受け取れません。どうもあの近寄りがたい雰囲気のマダムを気に入ってしまったようなんです。私は父の好みがあんなに知的な(コワイくらいの)方だということを知ってびっくり。へ〜男心ってわからないわぁ。
 ちょっと残念だったのは私達は3部屋借りていて、いつも帰ってくるなり一同揃ってバスを使うせいか、お湯がぬるくてぬるくてしまいには水になったこと。オーナーマダムに言ったら意外そうですぐ見てくれようとしましたが普段はそんなことはないそうなんですが。

◆ 本格的イングリッシュブレックファースト

 B&B期待の朝食。
 黒塗りの大テーブルの上には足つき大皿に盛られたフルーツコンポート。バスケットの中には各種ヨーグルト。キッチンのお手伝いをしている女性がオレンジ、グレープフルーツ、アップル、クランベリーなど、まずは冷たいジュースのオーダーを取りに来ます。そして各人がオーダーしたコーヒー、紅茶がポットサービスで、しかも紅茶ポットにはおしゃれなTea Cozyがかぶせられて。
 ホットプレートは焼きトマト、焼きマッシュルーム、ポテトなどの付け合わせと一緒にお好みの卵料理をソーセージやベーコンと一緒に。スモークサーモンたっぷりとベーコンという組み合わせもありました。(このスモークサーモンというのは今のはやりなのかしら。ロンドンのホテルでもビュッフェに並んでいたし、アフタヌーンティではスモークサーモンたっぷりのサンドイッチがありました。)
 イギリスらしい薄いカリカリのトーストが、バスケットの中に保温のためのキルティングの蓋をかぶせられて出てきます。なんて細やかなサービスなんでしょう。もちろんジャムも各種たっぷり。
 一同大満足。夜は疲れていつもばったり寝てしまい居間のシェリー酒どころか話をする間もなかったので、この豊かな朝食にはたっぷり時間をかけ、皆の会話もはずみました。う〜ん、いつかまた来たいなぁ。



Pinewood House

Loft and its bathroom

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